HATOGI屋(ハトギヤ)

研ぎ傷って付くものなの?

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かなーりお久しぶりです!!

 

 

やっとクラウドファンディングも終わり、やっと一息つくことができました( ;∀;)

 

 

 

いやー包丁1本1本丁寧に仕上げるのってホント大変!!

 

 

 

包丁作っている職人さんを本当に尊敬します。

 

 

 

さてさて、今回のお話は研ぎ傷についてです。

 

 

なぜ、このお話をしようと思ったかと言うと、ごく稀に「傷が付いている!!なんてことをするんだー!!!<`ヘ´>ムキー!!!」という人がいらっしゃるので、勘違いや誤解を解きたいと思いまして、記事にすることにしました。

 

 

 

結論から申し上げますと、研ぎ傷は付く場合もあれば、付かない(目立たない)場合もあります。

 

 

 

それは、どう研げば変わるのかと言うと一つ言えることは、研ぎの角度です

 

 

 

下の写真のように角度を上げて研げば側面に傷がつくことはほとんどありません。

 

 

ですが、こちら↓の写真のように角度を下げて寝かせ研げば側面に傷が付きまくります( ;∀;)

「じゃあ傷を無駄につけたくないから、すべての刃物は角度を上げて研げばいいのでは?」と思うかもしれませんが、そうなると刃の角度が鈍角になってしまいます。

 

 

つまり、下の図のような感じになるということです。Ⓐのように角度を上げまくって出来た刃は、欠けにくく丈夫ですが、食材に入り込む際に抵抗があります。

 

逆に角度を寝かせて研ぐとⒷのような刃になるので、かなり鋭くなります。こうなると食材への入り込みがスムーズになるので、より切れ味が増した感じがします。ただ、その反面刃先が脆く、欠けやすくなります。

 

 

なので、どのような刃を作りたいかで研ぎ方が変わってくるのですが、僕はなるべく説明したり、新品っぽい包丁なら研ぎ傷をなるべくつけないような研ぎ方で対応します。

 

 

研ぎ師によっても研ぎ方が変わるので、研ぎ跡は千差万別になります。ですが、“洋包丁なら多少の研ぎ傷は付いても仕方ないじゃないの?”っというのが、僕の中での認識です。

 

 

僕の場合、角度を寝かせて研いで研ぎ傷が絶対ついてしまう場合は、なるべく側面を綺麗にならして見た目も残念にならないようにしてお渡しします。もちろん場合によっては「研ぎ傷が付きますよと」いう説明をしたりします。

 

 

「うちの近所の研ぎ師は傷なんてついてないよ」という場合は、その方が、角度を上げて研いでいるか、機械で刃先だけ研いでいるというタイプになると思います。もしくは、丁寧に研ぎ傷を消してくれているのかもしれません。

 

 

 

海外での包丁研ぎで、両頭グラインダーで研いでいる動画を見たことはありますでしょうか?あんな感じで刃先だけ当たるように機械で研げば側面に傷がつくことはありません。海外でナイフを研ぐ時によく見られる研ぎ方かもしれませんね。

 

 

 

研ぎをご自身でやられている方なら研ぎ傷が大抵ついているのではないでしょうか?

 

 

 

特に洋包丁を角度をかなり寝かせて鋭く研ごうとしている人なら、かなり側面に傷がついていると思います。

 

 

参考例として、料理人の方の包丁を撮らせていただきました。持ち主様ご自身で研いだ跡です。寝かせて鋭角に研ぎたかったのか、はたまた角度が安定しないからついたのかわかりませんが、側面に流れるように傷がついているのがわかりますね。

 

 

 

 

そして、反対側を僕が少しだけ角度を上げて(10円玉が1枚入るか入らないかくらいの角度)研いだのがこちらです。

 

 

刃先5mmほど研ぎ跡があるのがわかりますか?ちなみに、刃先以外の側面の傷は元から(研ぐ前から)付いていた傷なので、研ぎで付いた傷ではありません。

 

 

 

余談ですが、側面が元から綺麗で角度が一定に研げれば、こんな感じに仕上がります。↓

 

この記事で何が言いたいかというと、実は僕も一回お客様にガッカリされたことがあるのです。理由はもちろん研ぎ傷がついていたからなんですが、研ぎ傷といっても側面にはなく、研いだ跡の0.1~0.2mm周りに荒砥の研ぎ傷が見られた程度です。写真にも撮ったのですが、当然写真だと研ぎ傷だとわかりません(笑)肉眼でしっかり見たら若干分かる程度の研ぎ傷?がついていたのですが、これは許容範囲としていただくしかありません。

 

 

 

研ぎ依頼内容としては、「今の状態より鋭くしてほしく、尚且つ角度を寝かせすぎなくていい」とのことでした。なので既存の角度よりは鋭角に研がなければならず、多少は研ぎ跡が広がる感じになるのですが、それがお客様には気に入らなかったようで、ガッカリされてしまいました。

 

 

 

ですが、これは僕の力量ではどうしようもないと思いました。

 

 

 

稀に刃物を新品の状態と同じくらい綺麗に大事に使われている方がいらっしゃいますが、綺麗すぎるのもどうかと思います。余計なお世話であることは重々承知しているのですが、そこまで綺麗にしておきたいのであれば、それは道具として使われるのではなく、観賞用として飾っておいた方がいいのではないかと。

 

 

 

使えば傷も増えますし、研げば研ぎ傷も少なからずつくこともあります。絶対に研ぎ傷をつけたくないのであれば、新品を買い直すか、研ぎに出される前にしっかり研ぎ師に確認を取った方がいいかと思われます。(値段の相談とかもね。)

 

 

 

どれくらい研ぎ傷があったかみなさんも気になると思いますので、載せようと思ったのですが、当のお客様が「あっ自分のだ」とわかってしまいますので、他のお客様の包丁で似たようなレベルのものを載せます。どん!!↓

 

 

はい。これに似たレベルで仕上げました。(この包丁の写真は別のお客様の包丁なので、特にクレームをもらった訳ではありませんのであしからず。)

 

 

 

角度を少し上げて刃先だけ研いだもので、2mmくらい研ぎ跡がありますね。どこにも無駄な研ぎ傷があるように見えないです(ちらほら横に線が入っているのは元からついていた傷です)、研ぎ跡の周りに少し0.1mmほど白くなっている筋が見えます。例のお客様はこれが気に入らなかったようで、このレベルを気に入らないと言われたらどうしようもないですね。(何度も言いますが今回取り上げていることはこの写真の包丁の持ち主様ではありませんし、この包丁でもありません。)実際このレベルであれば無駄な研ぎ傷があるとは言えないと思います。

 

 

 

もしこの記事を見ていらっしゃる方で【超】が付くほどの神経質な方がいらっしゃったら、その方は、研ぎに出さない方がいいです。切れ味が悪くなったら無難に新品を買いましょう。

研ぎに出しても互いに残念な気持ちになるだけです。

 

 

 

どうてしても研ぎに出したいのであれば5千~1万円くらい払って「完璧に研ぎ傷を消してくれ。新品レベルまで仕上げてくれ。」とお願いしてみてもいいかもしれませんね。

500~1000円で研ぎ師がやりたがる内容ではありません。

 

 

 

研ぎ師は、刃を研いで切れ味を良くするのが主な仕事なので、必ずしも包丁を新品に復活させるのが仕事ではありません。

もちろん綺麗にすることが可能であればできる限り綺麗にします。

 

 

 

ですが、料金の設定上、限界というものがあります。

 

 

 

すべての包丁が研ぎに出したら、切れ味だけでなく見た目も新品のように完璧に綺麗になって戻ってくる訳ではないということをご理解くださいね。

 

 

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