研いでも切れ味がいまいち、、、その理由とは?
今回は
「最近、包丁を研いでもらったんだけど(近所に住んでいる研ぎが得意な一般人の方や、メーカー、他の研ぎ屋等で)、いまいち切れ味が悪いんだよね、、、」
と言って、僕の店に持ち込まれることが多いので、そのいまいち切れ味が悪いと感じる理由の一例を紹介したいと思います。
“しっかり刃先が研げていない”という理由は、問題外ということにしておきます、、、笑(*´▽`*)
それらの包丁をチェックしてみると、どれも刃を触ると鋭さはあります。
では、なぜ切れ味が悪いと感じるか、、、
それは、刃の角度と厚さが関係しています。
まずは、「研いだのに切れ味がいまいち」と言われる包丁の刃先の形状は大体こんな感じになってることが多いです。
一見しっかり尖って研ぎあげられているように見えますが、、、これは結構【鈍角な角度】で仕上げれています。
この刃先の形状で使えるのは、病院で使うメスの様に【表面だけを切り裂く】ような使い方なら切れると思います。
ただ、大根やニンジン等の根菜類を真っ二つにしたりする(食材の中に包丁が入り込んでいくような)切り方だと包丁が入っていきません。かなり力を入れて押し込む様に切らないといけません。
なぜなら、包丁の刃先が分厚くなっているから!
それに、切れたとしても「ジャコン!!」っと音が鳴り、”繊維を切る”というより”割って入っている”ような切れ味になります。
なので、刃の角度を鋭角にして、食材に入り込みやすくしてあげなければいけません。
これが刃先を鋭く研いだ刃の形です。
本当はここからもう少し真ん中あたりを削っていきたいのですが、料金の関係上ここまでの研ぎになりました。
そして、この後刃先に”糸引き刃”という小さな段刃(小刃ともいいます)をつけて刃を丈夫にして完成です。
どのように鋭角に研ぐのか?
研ぐ際の角度も、包丁を角度付けずに”ベタ付け”(砥石に対して包丁の側面全体をつける感じ)の角度で研ぎます。
もちろん包丁の形状によっては、側面が全体的には付かず、半分くらいだけ付く物もあるのですが、それくらい寝かせて研ぐということです。
このように包丁の腹(側面)の部分を大幅に削って包丁を薄くする作業を”肉抜き”と言ったりします。
肉抜きはとても大変な作業なので、研ぎ屋では別途料金をいただくか、もしくは研ぎ料金が高いところは、その作業が最初から含まれていることが多いです。
僕の店だと、通常の研ぎ料金に+500円~+1500円くらいですね。もちろんお客様の料金の都合もあると思うので、全ての包丁にこの肉抜きを行うことはありません。あくまで、しっかり説明してから「やってほしい」と依頼があれば行う作業です。
ただ、この肉抜きを行うと本当に食材にびっくりするくらい切れ込みます!!
毎回、根菜類で試し切りをするのですが、包丁が勝手に入っていくかのごとくスムーズに入っていきます。
この切れ味を一回体感してみてください!!!
あっ、ちなみに包丁なら何でも薄く研ぎ上げればいい訳ではありませんからね。
分厚い包丁も世の中にはたくさんあります。分厚かったり、薄かったりするのはそれぞれ理由(役割)があるので、それをしっかり見極めるのも大事です。
このことは、別の機会にご説明いたしますね!!
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