HATOGI屋(ハトギヤ)

砥石の扱い方

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今回は、砥石の使い方に関して説明していきたいと思います。

 

「包丁の研ぎ方ではなく、砥石の使い方?」

 

と思う方もいらっしゃるかもしれませんが、包丁をどのようにして研げばいいのかという説明は、ネットでも多く見受けられますが、砥石の扱い方があまり丁寧に載っていないことに気づいたので、僕の記事では、砥石の扱い方について詳しく書いていきたいと思います。

もちろん多少は研ぎのことも書くことになりますが、メインは砥石の事に関して書いていきます。

 

①砥石で研ぐ前の準備について 

 

『事前に水に浸けておきましょう』

 

という説明は、どのサイトにも載っていることが多いですが、

 

【なぜ水に浸ける必要があるのか?】

 

という理由をしっかり説明していないサイトが多いので、この記事ではそこら辺をしっかり説明していきます。

 

砥石の種類には、荒砥石か中砥石か、だけでなく、研磨材(砥石の材料)の種類や、製造法なども様々な種類があり、いろんな括りで分けられます。

ここでは詳しく述べませんが(砥石の種類については、別の記事で詳しく説明してあります)、砥石は

【水を吸うタイプ】か、

【吸わないタイプ】

でも分けられます。

 

水を吸うタイプの砥石 の説明

水を吸うタイプの砥石は、使う前に水に浸しておく必要があります。
水を吸う砥石は、構造がスポンジのようになっており、気泡のような穴が無数にあります。その中に水が入り込んでいき、満遍なく水が行き渡ると砥石表面に水を垂らしても吸わなくなります。この状態を最初に作り出す必要があります。この状態でないと、包丁が上手く砥げません。

 

砥石によって水を吸わせる時間が異なるので、5分程浸けたら一旦外に出して、表面に水を垂らして確認してみてください。水が中に染み込んでいかず、表面に残っていたらOKです。

 

写真で見るとこんな感じで水を吸っていきます。

ズームするとこんな感じで、ブクブク泡が出てきて水を吸っているのがわかりますね。

 

完全に水を吸い終わるとこんな感じです。

 

表面に水を垂らしても吸い込まず、表面に水が残ります。スポンジが水を大量に含んだような状態にします。

 

水を吸わないタイプの砥石の説明

吸わないタイプは、最初に水に浸けておく必要はありません。
吸わない砥石は、研磨材(砥石の材料)の密度が高く、ほとんど穴が存在しないか、本来穴が存在する場所に、結合剤(研磨材を同士をくっつける役割がある)が入り込んでいて穴が埋まっていて、実質的に穴がほとんど存在しないかのどちらかです。

写真だとこんな感じになります。

ブクブクしてませんね。

恐らく昔の砥石は、基本的に水を吸うタイプが多く、その為、砥石は”水を吸わせてから使う”というのが通説になったのだと推測します。

今の砥石は吸わないタイプの砥石が多く生産されており、使う前に吸わせる必要がなく、研ぎたいと思ったらすぐに研げるようになっています。(全てではありません。)

 

②研いでいる最中について

 

そもそも、なぜ水を吸わせたり、数滴垂らす必要があるのか?

 

基本的に砥石は、水を吸う砥石でも吸わない砥石でも、少量の水(水滴3~5滴くらい)をこまめにかけながら使います。

 

砥石は、その名の通り“石”なので砥石自体も削れていき、減っていきます。その削れた際に表面に出てくるのが【砥グソ】と言われるものです。他の呼び方で、研ぎ汁ドロなどと呼ばれることもあります。見た目は砂のようです。

この削って表面に出てきた【砥グソ】も包丁を削る材料として使えるので、洗い流さずに使う場合があります。

 

その時に、砥石が乾燥していると、スムーズに砥クソが動いてくれません

 

なので、水を吸うタイプの砥石は、上でも説明したように最初に砥石を水に浸し、 砥石の中まで水が浸透しきっている状態にし、表面に水を垂らしても吸収しないようにします。

水を吸わないタイプの砥石はこの工程を飛ばせます。

写真で見てみましょう。先ずは乾燥した表面で砥クソを出してみました。

触ると砂のようです。

これを表面を濡らした砥石で研ぐと

こんな感じです。(ちょっと水をかけすぎました(笑)本来は数滴でいいです)表面に水が覆われているので、先ほどの砂が水中に浮いてスムーズに動いてくれます。

触るこんな感じです。泥のようですね。

余談ではありますが、砥石自体が削れやすい(減りやすい)ものは、砥クソが少し黒ずんだ“砥石の色”になります。↑のようにね。

 

砥石が削れにくい(減りにくい)ものは、砥石よりも包丁の鉄が削れていくので、砥クソが真っ黒になります。↓のようにね。

以上のように水は、砥グソをスムーズに動かし、研ぎの動きもスムーズにし、研ぎ効率を上げる為に、必要なものなのです。

 
さらに水は、必要以上に砥クソが出てきてしまった場合に、それを“洗い流す”という役割もありますし、研いでいる時に包丁と砥石によって摩擦熱が生じるのですが、それを抑える効果も多少あります。

 

ただし、水が多過ぎると、砥グソが流されてしまい、上手く機能しません。水が少な過ぎても砥グソが泥のようにヌルヌルしてきて、包丁が砥石の上で滑り、研ぎにくくなってしまいます。適度な量で研いでいきましょう。

 

砥グソを使わないで研ぐのは間違い?本当に??

 

よく、動画サイトなどで、砥グソを洗い流しながら研いでいる人に対して、コメント欄で

「砥グソ洗い流すな!!素人か!」

「砥グソ洗い流すとか、砥石の使い方知ってるのか?」

的なコメントを書かれている人が一定数いますけど、

これは、コメントしてる人達は勉強不足ですね。

今の売られている砥石の中には、砥グソを使わないでもしっかり研げる砥石も多数存在しています。(シャプトンの【刃の黒幕】とか、ナニワ研磨の【新】とかね)

なので、動画の中で使われている砥石が、砥グソ無しでも研げる砥石の可能性があるので、そのようなコメントをするべきではないと思います。

 

全部の砥石が、砥グソを出さなければいけない訳ではありません。

 

研ぎの世界も日進月歩なので、通説を信じ切るよりも、日々の変化に対応できるよう勉強しておいた方がいいと思いますね。

 

ちなみに、僕は砥グソを状況に応じて使い分けています。

「ここは砥グソ使うか~」とか

「ここは砥グソ無しで研ぐか~」

みたいな感じですね(*´▽`*)

 

《まとめ》

■砥石には、水を吸うタイプと吸わないタイプがある。

■吸うタイプは、事前に水を吸わせて“大量に水を含んだスポンジ”状態にしてから使う。

■吸わないタイプは、表面に水をかけてすぐに使える。

■どちらの砥石も水は必要。

■砥グソは、砥石によって必要な場合もあれば、必要でない場合がある。

■研ぎやすくする為に砥石の表面に少量の水を(水滴3~5滴くらい)こまめにかける。

“砥石の扱い方” への2件のフィードバック

キング砥石【キングK-55 #1000】のレビュー – 砥石の部屋 へ返信する コメントをキャンセル

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