【名倉】とは?名倉の役割と使用方法
今回は、砥石を買うと付属している場合がある【名倉】について説明していこうと思います。
実は、僕も何種類か持っていますが、あんまり使わないですね~。
そもそも【名倉】の効果、役割、使用方法は?
あまり長く説明するとみなさんが疲れてしまうと思うので、簡潔に書いていきます。
名倉の効果、役割
- 砥石の表面を削って、砥グソ(泥、研ぎ汁とも言う)を出し研磨力を向上させる。
- 【目潰れ】※した砥石の表面を削って、【目立て】を行い研磨力を復活させる。
- 【目詰まり】※を起こした砥石の表面を削って、新しい面を出して詰まりを解消させる。
※2.の【目潰れ】とは、砥石の表面の粒子は本来尖っているもので、その尖っているおかげで鉄を削ってくれます。しかしその粒子の尖った部分が削れて丸くなってしまったりすると、研磨力が落ちてしまいます。この状態を目潰れと言います。
※3.の【目詰まり】とは、砥石には無数のミクロの穴があり、(気孔と言ったりします)その穴にゴミや削りカスが入り込み、砥石が詰まってしまうことです。こうなると研磨力が落ちて時にはツルっと滑る感覚になってしまうことがあります。
以上がざっくりとした効果、役割ですね。主に1.の砥グソを出すのが広く普及した使われ方です。
特に砥グソを出すと、研磨力が上がるだけでなく、包丁にある変化が起こります。
それは、
包丁が霞む(曇る)です!
砥グソによって、和包丁を綺麗に仕上げたいなら必要不可欠な【霞み】が得られます(”ω”)ノ
具体的には、↓
こんな感じで、【地金】と【刃金】の境目である刃境がハッキリわかる研ぎ跡になります。
日本刀みたいでカッコイイですよね。正確には日本刀の霞ませ方と、和包丁の霞ませ方は違うのですが、似ていることには変わりありません。
ちなみに、1枚で作られた包丁にはこのような“刃境”はありませんので、いくら砥グソを使って研いでも模様はでません。(本焼きの波紋は別の話ね)
刃境の模様を出したいのであれば、合わせ包丁、霞み包丁、割込み包丁、三枚合わせ包丁を購入しましょう。これらは、地金(軟鉄)と刃金(刃先の硬い鉄)が別々なので、綺麗な境目が出来ます。
和包丁だけでなく、家庭用の三徳包丁にも刃境がある種類があります↓
包丁の境目を綺麗に出すと模様のようになるので、好きな方は多いですね。くどいようですが、三徳包丁なら“割込み”とか”三枚合わせ”などの構造でないと刃境はありませんのでご注意ください。
名倉の使用方法は?
使用方法は簡単です。
名倉と砥石を適度に濡らして、後は互いを擦るだけです。
途中で砥石と名倉が「ペタっ」と引っ付いてしまうこともあるのでご注意ください。その際は、少し水を足してあげてください。ただ、加える水が多すぎるとせっかくの砥グソが砥石から流れ落ちてしまうので、少量にしてください。
数十秒擦ったらこんな感じで砥グソ(泥)が出てきます。↓
この状態で研げば、先程の写真のように綺麗に和包丁や一部の三徳包丁を霞ませることができます。
あと、この状態で研ぐと結構ヌルヌルして研ぎにくいので気をつけてください(”ω”)ノ
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