ハマグリ刃は切れる?刃の形状の違いについて
以前、本刃付けのお話しをしましたが、今回はそれに関連したお話しをしよう思います。
まずは、あるリピーターのお客様が、
「新品の包丁を買ったけどいまいち切れない」
と言ってご来店された時の包丁の写真をアップします。
はい、こちらですね。これは有名な包丁メーカー【グローバル】の牛刀です。
グローバルは8:2か7:3くらいの変則両刃になっているらしいです。
さらに若干、ハマグリ刃になっているので、まったく同じ感じを残しつつの本刃付けは、かなり難易度が高いのではないでしょうか。
そして、お客様から包丁をお預かりした後に気づいたんですが、、、
試し切りしたら、
めっちゃ切れるんですよね、この包丁(*´ω`*?)
そういえば、「グローバルは新品でもよう切れる」っと高評価されている方がちらほらいらっしゃったのを思い出しましたわ!!
えっ??この切れ味で「いまいち!」って言われたら、もう満足できる包丁なんてないんじゃないの?って言うくらい切れます笑
困ったな~とても困ったな~。
これ以上の切れ味を出せと言われても、ほとんど差なんてわからないレベルになってきてしまいます。厳密に言うと最高の切れ味よりはまだ少し差があるのですが、それを求める人は、切れ味に憑りつかれたマニアな人くらいです。笑
日常生活では絶対に必要のない切れ味なので、あまりお勧めしていません。手間かかる分料金も多く頂いてしまいますしね。
それにこの包丁の持ち主様は、リピーターなのですが、前回は違う包丁を研ぎに出された時に、究極の切れ味を求めるような方ではなかったはず、、、( ゚Д゚)
なので、ここで考えられる可能性は、切れ味がいまいちなのではなく、切り抜けがいまいちなのかな?と考えました。
グローバルはハマグリ刃です。(たぶんね)
ハマグリ刃は刃欠けを防ぐ為に主に用いられる研ぎ方です。ハマグリ刃のメリットは、刃が丸みを帯びて気持ち太くなるので丈夫になります。「ハマグリ刃はとても切れ味が良く、鋭い」と言われたりしますが、
実際、ハマグリ刃という“刃の形状”は、“鋭い切れ味”とは少しだけ話が逸れます。
刃の形状の違いは、”丈夫”か”丈夫じゃない”かと、”食材に切れ込みやすい”か”切れ込みにくい”かの話になります。
●刃先が丸かったり、太かったりすると → 欠けにくく、丈夫! 食材には切れ込みにくい。切り抜け悪い。
●刃先がストレート、薄かったりすると → 欠けやすく、脆い! 食材には切れ込みやすい。切り抜けやすい。
ということになります。
なので刃物の鋭さは
”刃の先端が細かく研がれてること”と
”刃の形状が対象物に切れ込みやすい理想的な形であること”
が合わさって、やっと生み出されることなので、刃の形状がハマグリ刃だという理由だけで、切れ味が良く、鋭いとは言えないのです。
話を元に戻しますが、上記の理由で切れ味が悪いのではなく、切れ込み、切り抜けが悪いと感じたのであれば、それは大幅に刃を削らなければならないので、普通の本刃付けより難儀なものになってしまいます。
どうしたものか、、、とりあえず刃は、ハマグリ刃からストレートの刃にして、ほんの少し、傷が付かない程度に切刃を広げるしか方法がありませんね。
刃先は顕微鏡で確認しましたが、とても細かく整えられて研がれているので(手研ぎなら8000番~10000番以上の砥石で研がれたような仕上がり)、これ以上頑張っても好みの問題というレベルですね。
まぁ、天然砥石か刃の黒幕の30000番を使ってもいいのですが、あからさまに切れ味が変わったことを実感することはないでしょう、、、(-_-;)
一応、髪の毛を刃先の上でスライドさせたら、髪の毛が切れるくらいの切れ味は出しておきました。(包丁を動かして髪の毛を切るのではなく、固定した刃に髪の毛を当ててスライドするやり方ね)
これで満足していただけるかな~、、、( ;∀;)
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