裁ちハサミの研ぎ
今回は裁ちハサミの研ぎを載せたいと思います。
包丁を研げる人にありがちなのですが、ハサミを研いだら余計に切れなくなったという事態になってしまう方が多いです。
ハサミは、包丁以上に構造をしっかりと把握しておかないと、刃を研いだだけでは切れ味が戻らない場合があります。なので、難易度は包丁よりも若干上がるのではないでしょうか?ハサミ専門の研ぎ師の方もいるくらいです。
包丁と全く別物として考える必要がありますね。
今回載せるハサミは、僕の店で一番依頼が多い裁ちハサミの研ぎです。
裁ちハサミの研ぎは、そのほとんどがサビ落としも含まれます。鋼製の古いハサミが多いからですね。
40年、50年前の裁ちハサミなんてザラにあります。何度も研いできました。
全て錆びだらけでしたけどね、、、。(´;ω;`)
こんな感じで真っ黒であったり、全体が赤錆だらけの茶色だったりします。
表側の錆を落とすのはそこまで難しくなく、大変な作業でもないのですが、裏側の錆がやっかいです。
なぜなら、裏は和包丁と同じで若干凹んでいる(くぼんでいる)からです。出刃包丁や柳刃包丁も裏側が凹んでいますよね?あんな感じです。
僕の店は、縦回転型の砥石でその凹みの形を崩さずに削れますが、一般の方が裏の凹みを崩さずに錆を削り取るのはかなり大変な作業なのではないでしょうか?
しかも裏側は鋼なので、硬いですし、裏を削り過ぎると鋼が無くなってしまうので削る際も注意が必要です。
なので、錆びを完璧に取りたくても、完璧に取り切れない場合が多々あります。
錆の問題だけでなく、【反り】と【ひねり】の問題もあります。
これは別の機会に説明しますが、ハサミの刃の部分は真っ直ぐではなく、若干曲がっています。これが【反り】と【ひねり】なんですね。
これが無いと布を切る裁ちハサミは特に切れません。反りとひねりはほとんどのハサミに備わっています。
安い文具ハサミは、あまり反りとひねりが無いですが、高級なものになればなるほど、反りとひねりがしっかりとつけられているように感じます。(そのハサミが何を切るかによっても変わります。ものよっては、全く反りとひねりが無いハサミもあります)
素人の方は基本的にはハサミ研ぎには手を出さない方が無難ではありますね。失敗すると修理費が増しますし。
before
after
before
after
ハサミは研ぎは、構造をしっかり把握することが大事です。そして、もしその構造が壊れていたら元に戻せる技術があることが必須ですね。
ハサミの形が崩れておらず綺麗なままであったのなら、刃先を研ぐだけで切れ味が蘇る場合もありますけどね!!
それと、素人の方は裏は触らない方がいいです。自分で研ぎたいのであれば表側からだけ研ぎましょう。
研ぐ角度とかは、また別の機会に話せればと思います。
それでは(^^)/
前の記事へ
次の記事へ