出刃包丁の欠けの直し、錆び(孔食)の除去
今回は、出刃包丁や柳刃包丁、もしくは、刈込ハサミなどで多く見られる錆び(孔食)によって刃先が欠けてしまっている刃の研ぎ直しを載せたいと思います。
まず「孔食って?」なると思いますので、わからない方にご説明すると、、、
いや、写真で見せた方が早いですね!!!!(笑)
とりあえず今回の出刃包丁の写真をお見せします。
ぱっと見、そんなサビついていないように見えますが、切先部分をズームすると、、、
こんな感じで欠けています。↓
この欠け周りの黒い点が孔食という状態になります。
孔食は、鉄の表面に発生する赤錆とは違い、見た目は黒いです。黒いからと言って、黒錆とも違います。黒錆は良い錆びですからね。錆の進行を抑えてくれます(‘ω’)ノ
話がそれました、、、この状態は、錆が長期間放置されると中に進行していき、中の鉄をボロボロにしてしまうんですね。鉄に穴が空いてしまうので、見た目が黒く見えているわけです。
人体で説明すると、虫歯に近いです(*´Д`)
なので、孔食になってしまったら、そこは削り取るしか方法がありません。穴が空いているので、表面だけ削っても意味がなく、穴全体を削り取らなければなりません。
表の刃先がこのような状態であると、裏も大体孔食があります。
ね?
というか、裏の方が孔食は酷い場合が多いです( ;∀;)
さらに、裏はほとんどが鋼なので、硬くて削り取りにくいですし、裏すきを維持しながら削り取るとなると相当手間がかかります。
僕の場合、裏は刃先の孔食をしっかり取り除いたら、他の場所はしっかり取りません。なぜならそれなりに大変な作業になるので、お値段も高くなってしまいますし、裏の鋼がかなり薄くなってしまう可能性があるので、極力最低限の削りで済ませます。
で、、、どうやって研ぎ直すかと言うと、
シンプルに頑張って研ぎ続けるだけ!!!
です(笑)
気合いと根性なんですよ。。。
いまどき、【令和】になって【昭和】でよく使われていたセリフを吐くとは思いませんでしたが、
ひたすら気合いと根性で表の切刃は#120の荒砥石(マグネシアのタイプ)で
ゴリゴリゴリゴリゴリゴリゴリゴリゴリゴリゴリゴリゴリゴリゴリゴリゴリゴリゴリゴリゴリゴリゴリゴリゴリゴリゴリゴリゴリゴリゴリゴリ
裏は#220(ビトリファイドタイプ)の砥石で
削って削って削って削って削って削って削って削って削って削って削って削って削って削って削って削って削って削って削って削って削って削って削って削って削って削って削って削って削って削って削って削って削って削って削って削って削って削って削って
あっ、、、なぜ裏と表で砥石を変えているかというと、、、
まぁ何となくですね!!!(*´Д`)
よく言えば、職人の勘、、、ですかね(笑)
細かいこと言うと、裏側に使っている#220(ビトリファイドタイプ)の砥石の方が減りにくいタイプなので(僕が持っているやつはね。)、裏が歪みにくいという利点があります。もちろん、これはみなさんの持っている砥石とは違うと思うので、それなりに誤差が出ると思います。
砥石って面倒なやつで、同じ番手、同じ製法でもメーカーが違えば全く違う研ぎ感になるんですよ<`ヘ´>
困ったもんですわ!!
ステンレスが研ぎやすい砥石、鋼が研ぎやすい砥石、両方研ぎやすい砥石、軟らかい包丁しか研げない砥石、硬い包丁でも研げる砥石、も~色々です(*´Д`)
それと、今回使ったマグネシアタイプの砥石とビトリファイドタイプの砥石にこだわりがあるわけではありません。僕は日々、試行錯誤しながら研いでいるので、毎回砥石のタイプを変えます。今回は、、ボチボチの相性でしたね。まぁまぁ削りやすかったです(^^)
話をもとに戻して、研ぎ作業では砥石の面直しも頻繁に行って
裏押し(裏を研ぐこと)も孔食が取れるまでひたすら行います。
途中で何度か心が折れそうになってYouTubeを見て気分転換して、
作業再開
ゴリゴリゴリゴリゴリゴリゴリゴリゴリゴリゴリゴリゴリゴリゴリゴリゴリゴリ
裏側はキツイですね~
丁寧に削らないと綺麗な研ぎ跡になりません。裏が歪んだら今後の研ぎ直しに支障をきたします(; ・`д・´)
そんなこんなで
完了がこちら
一回り小さくなりましたが、お客様にも了承を得ているので、問題なし!!
切先付近の欠けも孔食も完全に取り除きました!!↓
刃先には欠け防止で、糸刃(小刃みたいなやつ)を付けてあります。
裏は結構削ってしまいましたが、完全に孔食を取り除けたので、今後は錆びさせない限り、研ぎ直しも楽になります!!↓
みさなんも和包丁の裏を研ぐ時は、しっかり砥石を平面にしてから研いでくださいね!
そうしないと、裏が歪みますよ?
裏が歪むと綺麗に研ぎ直せません!!
「あれ?砥石に当てているのに、上手く刃先が研げない!!」ってなります。
包丁や砥石が歪むと、刃先と砥石が綺麗に当たらないということが頻繁に起こりますのでご注意を(”ω”)ノ
裏全体の写真です。
本来はこのレベルまで削ることは無いのですが、孔食除去の為仕方なく、この状態まで研ぎました。
ちなみに、本来の裏押し(裏を研ぐ)を行った状態は、もっと研ぎ跡の線が細いです。(上の写真でいうと光っている部分のこと)
この包丁の外側の光っている部分は、2mm~3mmくらいあるのですが、新品であれば1mm有るか無いか、くらいです。
裏は表側を研いだ時に出る”カエリ”を取る程度に研げばいいので、そんなに研がなくていいんですよね。
みさなんも裏側を研ぐ際は、研ぎ過ぎに注意しましょう!!
今回の包丁は錆びていたので、特別処置です!!
何はともあれ完成です、、、あ~~~疲れましたね(笑)
でもこれが楽しいんですけどね(*´▽`*)
お客様が喜んでくれれば、苦労した甲斐があるってもんです。
前の記事へ
次の記事へ