研ぎの上達のポイントとは?その2
皆さんお疲れ様です!!
今回も前回同様、研ぎの上達のポイントを書いていきたいと思います。
今回は、洋包丁、和包丁どちらにも共通するポイントです。
では早速いきましょう。
◇包丁研ぎ上達のポイント
いつも通り結論から申し上げますと
中砥石から始めようとするな、荒砥石から使え。
そして、各砥石の性能差(研磨力)を把握しろ。
です。
これは、以前に載せた《持っておいてほしい砥石の種類》という記事にも同じようなことを書いたので、重複してしまう部分もありますがもう一度ここでお伝えします。
自分で研ぎを行っており、上手くいかない人の特徴の一つに「いつまで研いでも刃が鋭くならない」というような事例が結構あります。
それらの原因のほとんどが※中砥石を使って研いでいることによります。
※(全くの初心者の方に向けて説明すると中砥石とは、番手が#1000~#2000あたりの砥石を中砥石と呼びます。中には#800の砥石も中砥石と呼ばれたりしますが、それは人それぞれなのでここではあまり細かく定義しないことにします。)
これは僕個人の感覚ですが、中砥石はもうすでに【研ぎ面の微調整】の段階に入っている砥石なので、包丁を思いっきり削っているという感覚はありませんし、実際そこまでたくさん削れていません。
なので、仮に研ぎたい包丁が欠けていたり、刃がかなり丸くなってしまっている状態のものを中砥石で研ごうとすると、全く減らないのでいつまでたっても欠けが取れないし、丸さが取れて鋭くならないのです。
もちろん理論上は削れているので、いつかは欠けが取れたり鋭くなったりするのですが、それはみなさんが思っている以上に時間がかかることだと思います。
そこで、時間短縮の為に荒砥石を使いましょうというお話ですね。
荒砥石を使うとなるとみなさんの中には、「たくさん包丁が削れてしまったら困る、、、」という心配をされる方がちらほらいらっしゃいますが
安心ください。みなさんが思っている以上に削れないし、減りませんから(*´Д`)
特に高級ステンレス包丁の場合、硬さと耐摩耗性が高いので全く削れません(泣)高級包丁が難しいと言われる所以はここにあります。
高級ステンレス包丁を持っており、たくさん削りたくないと心配している方。その包丁は削れにくい、研ぎにくい、研ぎ師泣かせの包丁でもあるので安心くださいね( *´艸`)
(値段が高いだけで、包丁の鉄があまり硬くないものもたくさん売られているので、そういったものを買われた方は、、、まぁドンマイですね)
初心者の方の良くある勘違いとして、研ぎ時間はそんなにかからないと思っている方が多くいらっしゃいます。
ですが、実際やってみると初心者の方だと荒砥石を使っても1時間以上はかかるのがデフォだと感じます。研ぎ教室をやっていて、受講生のみなさんが研ぎ上がる時間の平均が90~120分くらいですね。といことはつまり中砥石から始めた方はもっと時間がかかる可能性があるということです。
最初に研ぐ際は、これくらいの時間がかかることを覚悟して行いましょう。
ここで、料理人の方たちはふと気になることがあると思います。特に和食店や寿司屋の方達。毎日包丁を仕事前か仕事終わりに研ぐ習慣がある方達ですね。その方たちは、「いやいや、毎日1時間も研いでないぞ」とか、「荒砥石なんて滅多に使わない。中砥石かもしくは仕上げ砥石だけで終わらせるぞ」と言った意見が出てくると思います。
でもね、それはそうなんですよ。
理由は、研ぐ頻度が高ければ荒砥石は使わなくてもいいからなんです。つまり毎日研がれて常に刃がトッキントッキンに鋭い場合は荒砥石なんて必要ありません。
ほとんどの人は毎日研ぎませんよね?研げたとしても月に1回研げればいいほうじゃないでしょうか?
そして、段々研がなくなっていきいつの間にか半年くらい経っているものなんですね。
僕の推奨している荒砥石を使った方がいいというのは、全く研がれず、刃が丸くなってしまっていたり、欠けていたりするもの等、たくさん削れなければならないものに対して言っていることなんですね。一般家庭の包丁はほとんどがこの状態だと推測されるので、荒砥石から使っても問題ありません。
もう一度ご説明しますが、荒砥石を使わなくていい包丁は、高頻度で研がれており、刃がまだそれなりに鋭い状態のものです。こういった包丁は、中砥石や仕上砥石だけでも比較的短時間で研ぎが完了します。
勘違いしてしまうといけないので、しっかり書いておきますが、荒砥石だけで終わってはいけませんからね!!荒砥石を使った後は中砥石で整えましょう。
つまり全く切れない状態の包丁は、
荒砥石→中砥石→仕上げ砥石
の順番で研いでいきましょうということです。
ですが、仕上げ砥石に関しては、無理に使わなくていいです。一般家庭であれば中砥石までで十分な切れ味が出ます。荒砥石→中砥石で完了でも問題ありません。
◇まとめ
研ぎの上達には、砥石の知識だけでなく【持っている砥石の性能の把握】は必要不可欠です。中砥石の1種だけ使うのではなく荒砥石も使い、荒砥石と中砥石がどれくらい削れる力が違うかを把握して状況に応じて使い分けられるようにしましょう。
そうすれば、使っている包丁が切れなくなってきてもその状態から研げば大体どれくらいで仕上がるかの研ぎ時間が予測でき、研ぎが前向きに行えるようになります。
包丁が欠けてしまっても
「あ~これくらいなら荒砥石で〇〇分くらいで取れるから仕上りまで〇〇分くらいで研ぎ終わるな」といった感じです。
刃は欠けていないが少し切れ味が落ちてきたなと感じたら
「これは中砥石だけで大体〇〇分くらいで研ぎ終わるな」など。
正確に分からなくてもなんとなく大体の時間が予想できるようになります。
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