HATOGI屋(ハトギヤ)

砥石の種類その②

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砥石の製造方法で何が変わる?



今回は、前回の記事同様、砥石の種類を説明していきたいと思います。



前回は、砥石の粒子の大きさで種類、用途が変わるお話しでしたが、今回は砥石の製造方法でもいろいろと違いがあることをお伝えしていきます。



以前の記事で説明し忘れてましたが、僕の記事で説明している砥石は、全て人造砥石です。つまり人工的に作られた砥石です。ということは、“天然砥石”という物も存在します。天然砥石は、説明も取り扱いもかなり上級者向けの砥石になってしまいますので、この記事では割愛させていただきます。



ではいきましょう!



砥石は、以下の3種類の製造方法にざっくり分けられます。


ビトリファイド
●レジノイド
●マグネシア

 

◆【ビトリファイド】

研磨材と結合剤を混ぜ合わせ、高圧で成形し、1000℃以上の高温で焼き固めて作られる砥石です。
別名【セラミック砥石】とも呼ばれます。なぜセラミック砥石と呼ばれるかというと、製造方法が陶磁器などと同じだからです。陶磁器やガラスもセラミックと呼ばれますよね。



≪この砥石の特徴≫
■研磨力が高い
■最初に水に浸け込む必要がある
■水に入れっぱなしでも経年劣化しない
■外に出していても経年劣化しない
■研ぎ面は、粗目になる
■研ぎ感は、石で研いでいるような感覚
■高い番手(#5000以上)は生産が難しい。(2019年8月時点で、高い番手の砥石が発明され、販売されています。メーカーは【ナニワ研磨砥石株式会社】)



《ビトリファイド系砥石を使った僕の感想》
3種の製造方法のなかでは、1番研磨力があるタイプだと思います。
荒砥石と、中砥石でビトリファイドの砥石をメインに使うことが多々あります。
その反面、研ぎ面が粗いので繊細な研ぎを行いたい場合は、あまり使いません。ですが、初心者の方はあまり細かいことを気にしなくてもいいかもしれません。荒砥石はビトリファイドがおススメです。




◆【レジノイド】

ビトリファイドのような高温で焼かれることはなく、研磨材と、結合剤が混ぜられ、成形され、その後に200℃くらいの低温で焼かれで焼結(焼き固め)されます。 その結合剤はフェノール樹脂系(簡単に言うとボンドのような接着剤)が使われるそうです。
ビトリファイドのような研磨力はないので、中砥石や仕上げ砥石として研ぎ面を整えたり、仕上げたりする時によく使われる砥石です。


≪この砥石の特徴≫
■研磨力が弱め
■研磨力が弱い分きめ細かな研ぎが出来る(なめらかな切れ味になる)
■最初に水に浸けなくてもすぐ使える
■水に浸けっ放しにすると柔らかくなってしまい劣化する
■研ぎ感は、(弾力があると言うと語弊がありますが)軟らかい。まさに樹脂!って感じ
■荒砥石から仕上げ砥石までどれでも生産できる(10000番手のような超高番手も可能)
■研ぎ面が滑らかになる(高番手になると研ぎ面が鏡の様に光ってくる



≪レジノイド系砥石を使った僕の感想≫
研磨力が弱めなので、レジノイド系の荒砥石はあまり使っていません。荒砥石の段階で大きな傷を付けたくない場合のみ、たまに使います。ですが上記に書いてある通り、中砥石~仕上げ砥石としては最適なので、高番手の砥石の購入をお勧めします。切れ味が滑らかになり、研いだ部分もピカピカに光りやすいので、研ぎ終わった後に達成感があります。
砥グソ(泥)が出やすい物が多いです。それはつまり、凹みやすい(減りやすい)物が多いということになります。もちろん、全部とは言えませんが、割合的に多いです。



◆【マグネシア】

セメント系の結合剤を使い練り固めて、乾燥させて固めるタイプの砥石になります。焼き固められることがないので、他の種類の砥石に比べ耐久性が弱く、長年放置していると、ひび割れたりすることがあるようです。研磨力は比較的あるようですが、個人的にはビトリファイドには劣ると感じます。



≪この砥石の特徴≫
■研磨力はビトリファイドの次くらい
■水に浸けなくてもすぐ使えるタイプが比較的多い。
■水に浸けっぱなしにすると柔らかくなり使えなくなる可能性がある
■切れ味は滑らかな切れ味になる
■荒砥石から仕上げ砥石まで全種類生産できる
■研ぎ感は、石と、樹脂の間くらいの感覚。硬い感覚が多いかも。
■研ぎ面は光らせたり、霞ませたりと両方に対応できる。



《マグネシア系砥石を使った僕の感想》
研磨力もそこそこあり、鋭い刃が付くので、僕の店でも使用頻度は高めの種類になります。レジノイド系よりも、砥石が減りにくく、研磨力もあるものが多いと感じます。Amazonや他のサイトでも高評価が多い砥石で、【刃の黒幕】という砥石のシリーズがありますが、あれはマグネシア製法で作られた砥石だそうです。僕もたまに使いますが良い砥石だと思います。




いかがだったでしょうか?
以上が砥石の製造方法による砥石の違いです。

 

砥石の製法によって硬さや減りにくさの違いは?

実は、製法によって砥石の硬さなど違いがあったりするのですが、メーカーによって結構バラバラです。硬さは、研ぎ感(包丁との相性)と減りやすさに直結することなので、かなり大事な特徴なのですが、

何度も言いますが、いかんせん【メーカー】によっても、【砥石のシリーズ】よってもバラバラなので、製法だけで硬いかどうか判断つきません。

ただざっくり分けると↓な感じになると思います。

 

●ビトリファイド系は、主に硬いタイプが多いですが、軟らかい砥石もあります。

●レジノイド系は、軟らかいタイプが多いと感じます。

●マグネシア系は、硬いタイプもあれば、軟らかいタイプもあります。

  

今回の記事では正確なことをお伝えできないので、このサイトでは、砥石1個1個のレビューも行っているので、そちらで判断してもらえればと思います。




店頭やネットではあまり砥石の製造方法が表記されているものがありません。気になる方はメーカーに聞いてみた方がいいかもしれません。僕も何度もメーカーに質問していますが、製造方法くらいなら快く教えてくれます。

“砥石の種類その②” への2件のフィードバック

  1. コメント失礼します。
    研磨力と研削力を一緒くたにしているように思えました。
    研磨は磨く力、研削は削る力を言い上記の説明だと矛盾生じるように思えます。
    失礼ながら見直して頂けたら幸いです。

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