鉈(なた)の研ぎ
今回は、鉈の研ぎを載せようと思います。
鉈は何度も研いだことがあるのですが、基本的に鉈は欠けていることと、錆びていることが多いですね。
まぁ、山などで木を切って、洗わずにそのままにしてしまうからなのですが、僕も山で使ったら同じように洗わずに放置するでしょうね(笑)
こまめにメンテナンスされることが少ないので、研ぎに出される鉈を研ぐことは大変な場合が多いです。
今回は比較的に簡単なものだったので、ビフォーアフターの見た目のインパクトはあまりないですが、少しでもみなさんの研ぎの参考になればと思い載せたいと思います。
まずは、研ぐ前の写真を見てみましょう。
こんな感じです。
裏は↓
こんな感じです。
剣鉈ではないので、片刃の鉈になります。
出刃や柳刃包丁と同じように裏が凹んでおり“裏すき”があるタイプですね。
ここでふと思ったことがあるのですが、和包丁(出刃、柳刃、薄刃包丁など)は裏すきがありますよね?
あれは、俗に魚の身を切る時や野菜を切る際に身離れを良くする為に、つまり引っ付きにくくして切りやすいようにという理由で作られているらしいのですが、、、
鉈は木を切る刃物なので身離れは関係無くね?と思いました(*´Д`)
木が野菜や魚の身のように引っ付いてくるなんてこともないですし、切り方も食材のように『スーッ』と切るのではなく、勢い良く『バキッ』っとぶった切る感じなので、裏すき要らなくね?っと感じるのですが、どなたか詳しい方がいらっしゃったら教えてください(‘ω’)ノ
鉈の裏すきって必要なの?という素朴な疑問について僕ももちろん調べてはみますが、こういうことは鍛冶屋などの専門家や、キコリの方に聞いた方がいいような気がするんですよね。
すみません。話を元に戻します。
鉈の研ぎ方は出刃と似ていますね。
研ぐ場所は和包丁で言うところの『切刃』の部分なのですが、図で説明するとこんな感じです。↓
ただ、これが初心者の方だとかなり大変です。
なぜなら、大抵欠けているので研いで削ならければいけない量が多いからです。
さらに上手く研げたとしても、、、↓
といった感じになるので、少し工夫が必要です。
まぁその工夫というのも出刃包丁と似た研ぎ方になるだけなのですが、図の方が分かりやすいのでまずは見てください。↓
AとBのような研ぎ方が主な仕上げ方だと思います。(図のBのハマグリ刃は少し丸過ぎますね笑)
比較的簡単なのは、Aの小刃をつけるやり方なので、みなさんもチャレンジしてみてください。
Bの研ぎ方はハマグリ刃なのですが、かなり練習しないと“ただの丸い切れない刃”ができてしまうので、注意が必要です。(図のハマグリ刃は、説明を分かりやすくする為にとても丸く描きましたが、実際はここまで丸くさせる必要はありません。むしろここまで丸くしたらあまり切れ味が良いとは言えないかもしれません。)
それと、こういう分厚い刃物を研ぐ際は、荒砥は必須です。ちょっとしたメンテナンスだからといって、中砥石から始めてしまうと予想以上に時間を食ってしまうので気を付けましょう。
ということで、錆取りと研ぎを行った仕上りがこちら↓
使用した砥石は、荒砥#220(サンタイガー) → 中砥石#1000(キングハイパー) → 仕上げ砥石#8000(北山)です。
仕上げ方は先程の図のAと同じです。刃先に小刃をつけました。
意外と#1000からいきなり#8000に移ってもここまで鏡面になるんですよ。
ちゃんと荒砥の傷を中砥石で取ってあげればですけどね。
あっ、平(腹)の部分の錆びはバフで磨き取りました(*´Д`)
砥石で研いだのは切刃の部分だけですのであしからず。
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